子どもっぽさを無くしたい。
旅行先でまた彼女に言われた。
「もうちょっと気をつけてよ。」
前にも注意されたことがある。
物忘れ、整理整頓の苦手さ、注意力のなさ、人の話を聞けないこと。
彼女はただ怒っているわけじゃなくて、僕のことを心配してくれているのもわかる。
でも、そのたびに自分の未熟さを突きつけられる気がして、どうしようもなく落ち込んでしまう。
自分でわかっているつもりだった。
直したいと思っている。
けれど、何度も同じことを繰り返してしまう。
改善しようと努力しても、ふとした瞬間にまた抜け落ちる。どうすればいいんだろう。
そもそも、こういう「人として基本的なスキル」を身につけるのが昔から苦手だった。
もともと友達は少なかったし、コミュニケーションの経験が少ないからか、人の気持ちを察することや、会話のリズムに乗るのも苦手だ。
相手が求める反応をとっさにできなくて、変な間が空いてしまったり、気の利かない返しをしてしまったりする。
だから余計に「ちゃんとしなきゃ」と意識するのに、空回りしてしまう。
周りの友人を見ていると、みんな当たり前にできているように見える。
スムーズな会話、相手への配慮、ちょうどいい距離感。
どうして自分は、こんなにも不器用なんだろう。子どもっぽさをなくしたいのに、なかなか変われない自分がもどかしい。
でも、そんな自分を受け入れることも、大事なのかもしれないと思う。
もちろん、変わる努力は必要だ。
それでも、すぐに完璧になれるわけじゃない。
焦りすぎて「できない自分」を責めるより、少しずつでも改善できた自分を認めるほうがいいんじゃないか。
旅行先で彼女に言われたとき、「またか」と落ち込んだけれど、前よりはそのことを気をつけていたつもりだった。
少なくとも、注意されたことに対して「いや、そんなことない」と反発せずに、「そうだね」と一旦受け止められるようにはなった。
それすら昔はできなかったのだから、少しは前に進んでいるのかもしれない。
大人になるって、急に完璧になることじゃない。少しずつ自分を知って、直せるところは直して、できないところは認めて、それでも前を向いて生きていくことなのかもしれない